サクラ咲く
「筋肉痛…」


ぽつりと呟くと如月がふっと笑う。


「力入ってたからなぁ…痛みは無い?」

横に寄り添うようにベッドに腰掛けて、肩を抱きしめてくれる彼の暖かな腕に力なく寄りかかる。


「ん…大丈夫。なんか…違和感あるけど。」


そっか、と頷く。


「俺だけ見てろよ。…他の男なんて一生知らなくていいからな。」



左手をぎゅ、と握られてそう言われる。



「ズルいわ。あたしはあなたしか知らないのに…あなたはあたし以外の人を知ってる。」



…わかってる。そんなこと言ってもどうにもならないってことくらい。


でも…どうしても言いたかった。


「ズルいか…。じゃあ、慰めにもならないかもしれないけど話そうか。」


…何を?


不思議に思い、首を傾げた。


< 50 / 67 >

この作品をシェア

pagetop