サクラ咲く
賑やかな食卓を囲む、二組のカップルとひとりのお邪魔虫。


海里を見た大輔は、暫くの間固まって動かなくなってしまった。


だって…女から見ても美人なんだから。
美那なんて可愛いー、綺麗ー、ばかりを繰り返し、海里とガールズトークを繰り広げている。


ダイニングテーブルに着いている如月とかのこと大輔は、来週一時帰国する両親の事を話し合っていた。



「でも、パパとママもうちに帰ってくるんでしょ?」

「いや、ホテルに宿泊するって言うんだ。今あのマンションは俺名義になってるからさ。」

「じゃあうちに泊まってもらおう、部屋なら客間があるし。
大輔と美那ちゃんも一緒に泊まれば問題ないだろ。」


…どこに両親を泊めるかで揉めているのだ。


「それならうちに泊まってもらっても同じじゃない?」


かのこの一言で、振り出しに戻る。


「パパに聞こうよ。その方が揉めないよ。」


「だなぁ。まとまらないや、そうしよう。」

かのこの言葉に大輔が従う。


「ねぇ、かのちゃん!海里ちゃん、下着メーカーでデザイナーやってるんだって!」


真剣な話に入り込んできた美那が、海里との会話をかのこに伝えてくる。


「新作持ってきたの。サイズはかのこちゃんは分かるから大丈夫だけど、美那ちゃんは次回持ってくるわね。」


有名下着ブランドの紙袋をチラリ。


嘘!この下着、高くてなかなか手にできないやつ…



「嬉しい!ありがとう、海里さん!」




やはり女心を掴むのは上手いらしい。



紙袋から取り出した下着は色白のかのこに良く似合う赤。


上下お揃いでキャミソールまである。

「いやーん、可愛い!あたしも欲しいー!」


美那が羨ましそうに手に取る。


でも…ちょっとセクシーすぎない?


「美那ちゃんはブルーね、イメージが。楽しみにしてて、プレゼントするから〜。」


にっこり笑うその表情は、やはり兄弟だ。泰斗によく似ている。


「海里さんってやっぱり泰斗と似てる。」


ぽつりと零れた言葉に、如月兄弟から同時に反論が返ってきた。



「違うわよ!」
「似てねぇ‼︎」


ナイスタイミングなとこも、似てると思いますよ。


ふふふ、と笑う。



なんかいいな、こういうの。


優しい時間、優しい仲間、優しい家族。



幸せ。


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