サクラ咲く
…こうやって会議とかしてる姿は結構かっこいいんだよね…不思議。




資料をペラペラめくりながら、発言する如月を横目で追う。



あの唇とキスしたんだっけ…。



もう何年前?



なんであたしにあんなことしたんだろ…。



好きとも言われないし、付き合ってなんて言われたこともない。


でも…そばに居て不快にはならない。


不思議な人。




指輪、返さなきゃ。

あんなすごいの、貰えないよ。



考え込んでいるうちに、会議が終わる。



「かの、ちょっといいか。」


大輔に呼ばれて会議室に残る。



なんだろ。
何かあったのかな。



「あのさ、今晩から1週間、美那がうちに来るんだ。」


…へぇ。



で?妹は邪魔だと。



「かのこには申し訳ないんだけどさ」
「いい加減にしてよ、大輔。美那ちゃんがくるのはいいけどさ、なんで毎回毎回あたしが追い出されなきゃなんないのよ。」



大輔が言い出す前に言い切る。



こんちくしょいっ。



またか。



兄妹で住むマンションは、父の持ち物。



当の父は仕事でアメリカに行ったきり。
母も付いて行っているから当然兄妹しかいない。


…というか、すでに兄の持ち家になっている。


かのこは居候みたいな、そんな存在。



イチャイチャしたい大輔がかのこを追い出すのは毎回の事だが。




「いいじゃねーか、かのはうちに来れば。てか、もういっそのこと一緒に住もうぜ。」



「‼︎‼︎」



後ろから突然羽交い締めにされ、声にならない悲鳴があがる。


「まだ嫁にやったわけじゃないんだから、同棲は却下。泰斗だから許してるけど、本当なら男のとこに泊まらせるなんて絶対認めないからな。」



自分の都合は棚に上げ、偉そうに言う兄が恨めしい。



いちゃつくのに邪魔だとハッキリ言えば、1週間くらいビジネスホテルに泊まるのに。




< 7 / 67 >

この作品をシェア

pagetop