侍先生!
「そうみたいですね! もうビックリですよ」


無理して笑ってるように見えるが、何やら冷や汗のようなものをかいている。


…あやしい。


「勉強は、大丈夫そうか?」


追求するのはやめて、勉強の事を聞いてみた。


「次期生徒会長の美智子ちゃんに教えてもらったから、大丈夫!」


「そうか。 なら大丈夫そうだな」


ひと安心していると、何か言いたそうな姫条が、俺の顔をジッと見ていた。


「私、帰って勉強します。 先生、さよなら」


らしくない事を言って、去ろうとする姫条を、何故か呼び止めてしまった。


「…姫条!」


しかも、姫条の腕を掴んでいた。
姫条は驚いた顔をしていた。


俺は手をいそいで離した。


「ハ、ハイ?」


ドギマギしたようすで、そう言われ、


「あ、いや…。 元気出せよ?」


と、意味の分からない事を言ってしまった。


いや、意味はある。
もし姫条が森本の事が好きだったなら、ショックを受けている筈。


「じゃあ、先生。 また私と信長ごっこ、してくれる?」


何を言うのかと思えば、そんな事を言ってきた。


俺と信長ごっこしたら、元気が出るのか。


…変なヤツ。
と、少し笑ってしまった。


「もちろん。 テストが終わったらな?」


そう言うと、姫条は笑顔になった。


…あれ。
なんか…姫条が笑ってるところ見るの久しぶりな気がする。
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