侍先生!
そして、テスト終了後。
姫条は日本史以外は良い点とはいえないものの、赤点は免れたようだ。


そして、生徒会の仕事を手伝いに、夏休みに学校に来るらしいが、どういった風の吹きまわしだ?なんて思った。


休憩時間の前に、プリントを持ってジーッとそれを見ている姫条が呟いた。


「奈良って、シルクロードの終着点だったんだよねー」


ああ、修学旅行の行先のプリントか。


「滋賀じゃなくて、残念か?」


俺がそう言ったあと、チャイムが鳴り、みんな生徒会室を出て行く。


姫条と俺がふたりきりになり、俺はいちごオレを姫条に渡した。


「お前、これ好きだろ?」


「先生、休憩の前に買ってきたの? 悪いなぁ…」


嬉しそうな、複雑な顔をしていた姫条の顔を見て笑った。


なんか、コイツ最近変だよな?


まあでも、無理に問い詰めるのは良くないので、控え目に言ってみる。


「…お前、何かあったら俺に言えよ?」


そう言うと、なにもないと、目をそらして言った。
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