侍先生!
「だから俺に“海”って名前つけたんだろうな。 俺も好きだけど」


「お父さんって、教師だったんですよね?」


「ああ。 …ってあれ? お前にその話したっけ?」


あ。そういえば、真帆さんから聞いたんだった。
マズイ事言っちゃったかな。


「はい、前に聞きましたよ? 忘れちゃったんじゃないんですか? 先生!」


「そうか? まあ、どっちでもいいけど」


ほうーっと息を漏らすように吐く。


「小さい頃、よく連れてってもらったなって思って」


「先生は、お父さんの事、大好きなんですね」


「好きっていうか、憧れかな」


憧れ…尊敬してるって事だよね?
いいなあ、そうゆうの。


「姫条は? もしや、お父さんに反抗期な年頃か?」


「んー。 普通ですよ」


そうか、と先生は笑う。


「あの、先生」


「ん?」


「私、先生に隠してた事があります」


食べかけのハンバーガーを机に置いてそう言った。


「私、体育祭の日に…真帆さんに会ったんです」
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