侍先生!
「やっぱ、人気なだけあって、人が多いですね」


「お前、絶対泣くぞ~」


「泣かないも~ん」


そういえば、私って昔から恐いものが無くって、泣いたことがあんまりなかったっけ。
先生に恋してから、なんだか泣き虫になった気がする。


「先生こそ、泣かないでよ~」


「俺はいい大人だ。 泣くわけないだろ」


ふーん。じゃあ真帆さんに振られたときも泣かなかったのかな。
でも…泣きたいほど辛かったんだろうな。


「じゃ、泣いた方がアイスおごりね!」


「望むところだ!」


順番がきて、ジェットコースターに乗りこむ。


そして、二人して絶叫した。


「こ…こわかったあ~」


バクバク言ってる心臓を、押さえつける。
まじちびるかと思った。


「泣くひまなかったな…」


先生は、ははっ、と力無く笑った。


「引き分けだから、二人でアイスたべよっか? 侍先生」


「そだな…」


私たちは売店へと向かった。


私がいちごみるくのアイスと、先生がちょこばなな。
カップアイスだったので、お互いつまみ食いをしたりして食べていた。


なんか、こうしてると本当の恋人同士みたいだなあ…。


「どうした? 姫条」


「え? いえ別に~」


ジッと先生の方を見ていたらしく、アイスの方に目線を向けた。


今日だけ、恋人気分を味わわせてくださいって言ったけど、今日ここまで近付いちゃうと、これから欲張りになりそうな…そんな気がする。


そうなったら私はどうなっちゃうんだろう?
私と先生の関係が、崩れたりしないかな?

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