侍先生!
そこに、侍先生がやってきた。


澪ちゃんは、侍先生に挨拶して、私の顔を見たあと手を振って去って行った。


「おい、お前のせいで主役やるはめになっただろーが」


先生は不機嫌そうにそう言った。
私も眉をひそめて先生を見た。


「私のせいじゃないですよ、先生のせいです」


「なんで俺だよ」


「私のせいじゃないです、だから先生のせいです」


「意味ワカンネ」


「真実はいつも二択!」


「それ、余計意味わかんねー」


先生は手に持ってた本を、私の頭にバシッと叩くように乗せた。


「さっき、徳川がこれ持ってきた。 まだ完成してないらしいけど、だいたいこんな感じでいくって。 目通しとけ」


頭の上にのっかっていたのは、劇の台本。


…もう書いたのか、皐月。早いな。


なんて関心してると、先生はいつのまにかいなくなっていた。


デートをしても、いつもとかわらない。


…いや、変わってるのかな?
ところで、真帆さんとはどうなったんだろう?聞くのを忘れていた。



「…聞きたくないっていうのも、あるけど」



独り言を呟いて、台本をパラパラとめくった。
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