侍先生!
「おっす!」


肩をポン、と…いや、ドン、と叩いたのはカツオだった。


「い…ったぁ…」


おもいのほか痛くて、声があんまり出せない。


「何これ? 台本?」


カツオは私の手から台本を抜き取ってパラパラとめくった。


「ちょ…謝ってよ!」


「何を?」


「肩痛い! 骨折した!!」


「んなもん、骨折してるわけねーだろ」


「痛い!!」


「いたいのいたいのとんでいけー」


カツオはやる気なさそうに私の肩からどこかへ手の先をやった。


「もういいよ! 台本返して!」


「お前のクラス、劇やんの?」


「そうだよ、カツオのとこは?」


少し痛みが残ってる肩から手をのけて、カツオからうばった台本をつかむ。



「俺のとこはクレープ屋」


「えー! ずるい!!」


「サービス券やるわ」


「さすがカツオ!」


「あと、お前の分は俺がつくる」


「…いらない」


どうせ、変なもん入ってるに違いない。
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