侍先生!
先生の事は、大好きだけど。
真帆さんとよりを戻すのが一番なんじゃないかって思う。


お互い、きっと、まだ好きだと思うし。


「お前、あったま固いんじゃねーの?」


いきなり頭をわしずかみにされて、髪の毛をくしゃくしゃにされた。


「カツオ!なによ」


「あーだと思うとかこーだと思うとか、そんなのお前の勝手な判断だろ?」


「うるさいな! てか、なんでそんなこと考えてるなんてわかんの!」


「お前、ブツブツつぶやきながら歩いてたじゃねーか」


…まじで!?
恥ずかしい!


私は顔を真っ赤にしてしまった。


「お前がやりたいよーにやればいいんじゃねえの? 相手の気持ちなんて考えてたら恋なんてできねーだろ」


「カツオに言われたくない…」


「俺は、別にお前と付き合いたいとか思ってねーからいいの」


そんな事、こんなところではっきり言われても困る…。
また顔を赤くしてしまう。


「気になるんだったら聞けばいいじゃんか」


「そうなんだけけど…」


「結局、こわいだけなんだろ? 本当の事を聞くのが」


カツオの言うとおり…本当の事を聞くのが怖い。


先生が私の事をどう思ってるのか。
真帆さんの事をまだ好きなのか。


水族館に行った時も逃げちゃったしな。


「今はまだ、このままでいい。 もし、自分で聞けるような勇気ができるまで…」


「そっか。 がんばれよ!」


ニカッと笑ってまた私の髪をクシャクシャにしてどこかに行ってしまった。


カツオって、何考えてるのかわかんない。
私の事好きだって言ったくせに、付き合ったりしたいとは思わないとか、頑張れよって言ったり。


「…頑張る」


もう見えないカツオに向かって呟いた。
先生に、本当の気持ちを聞けるように、頑張る。
< 156 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop