侍先生!
「お、先生。 仕事終わったの? じゃー俺はクラスの奴らと遊んでくるわ! じゃーまたな、まいまい!」


と、森本がそう言って去っていった。


「悪いな。 あのあと、またなんか問題起こってさ」


「そ、そうなんだ」


「…姫条?」


「は、はい?」


「顔赤いけど、どうした?」


「お、おばけ屋敷が暑かったんですよ」


「…そうか」


いや、そんな理由じゃない。
嫌な予感が胸をよぎる。


「森本に、告白されたんじゃないのか?」


「えっ!?」


「ほら、図星だ」


「な、なんで!?」


「なんとなく、そう思ったから」


本当に、ただなんとなくだけど。
姫条はあたふたしていた。


「返事は、したのか?」


「ううん、その時に先生が来たから・・・」


「そっか」


しばらく沈黙して、その場所に立ち尽くしていた。


「わ、私…カツオのとこに行ってきますね」


と、この場を去ろうとする姫条の腕を、掴んでしまっていた。


「侍先生?」


「…なんでもない。 早く行って来い」


と言って手を離す。


また、なんのつもりでひきとめたんだろう、俺。
また胸の奥がモヤモヤする。俺はモヤモヤの原因を考えていた。
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