侍先生!
しばらくして、姫条が帰ってきた。


「侍先生!」


「倖田だっつーの」


モヤモヤの原因が分からなくて、イライラする。


「私、侍先生が好き!」


「な、なんだよ。 イキナリ」


「って、カツオに言いました」


「別に、報告しなくていいけど」


俺は姫条から目をそらして、スタスタ歩いていった。


また、胸のモヤモヤが少し晴れた気がする。


「本当は、気になってた」


すごく、気になってた。
俺は振り返って、姫条を見る。


「なにを?」


「気になってた? ほんとに?」


俺は頷く。


「俺の事、好きって言ってくれて…嬉しかった」



俺も姫条も、顔を真っ赤にしていた。


答えは、すぐそこまできているのかもしれない。


でも、もし答えが見つかったとしても、まだ…俺は真帆の事もちゃんと、解決しないと…姫条には何も言えない。


俺は自分の気持ちを見て見ぬ振りをしてるのかもしれない。


でもまだ、それでいいと思う。




文化祭が終わったら、次は修学旅行の事でバタバタする。
また姫条と自由行動を一緒にと思って誘ったけど…いいよな?


自分にそう言い聞かせて、職員室にある自分の机に向って仕事をする。
< 164 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop