侍先生!
「倖田先生」


俺を呼んだのは、川崎だった。
この子、姫条とも友達だったんだっけ?確か。


「ちょっと、お話があるんですが、いいですか?」


そう言われ、ただ頷くしかなかった。
川崎に連れられてきたのは中庭だった。もしや…姫条の事か?


「あの…先生は、まいちゃんの事、どう思ってるんですか?」


…やっぱりそうか。


「そう思ってるって…ただの生徒だと思ってるけど」


まだ、そう思うしかない。
それ以上だとしても、ぶっちゃけ言えないし。


「そうですか…」


「姫条の事、心配してるんだよな? ごめんな。 でも、川崎が心配する事はなにも…」


「違うんです!」


違うって、なにが?


「はじめは、ただの日本史の先生と…友達の好きな人としか思ってなかったんですけど」


「…うん?」


「いつのまにか、先生の事が好きになっちゃったんです」


…え?


「でも、先生には元カノの事とか、まいちゃんの事とかあると思うんで、本当は言いづらかったんですけど…。 とりあえず、気持ちだけは伝えたくて!」


えええええええええ!?


「じゃ、私…教室に戻ります!」


「か、川崎!?」


「返事は分かってますので、いらないです! あと、まいちゃんには言わないでくださいね!!」


それだけ言って、川崎は去ってしまった。


川崎が…?マジで?


俺はしばらくそこに立ち尽くしたままでいた。
< 165 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop