侍先生!

ふたりきり

事故でキスした日、多分一番まっ先に寝た。
考えないようにしよと思って、布団に入ったらいつのまにか眠っていた。


二日目のみんなは、昨日の夜はしゃいでいたのか、眠そうな顔をしていた。


今日は奈良で、大仏を見る。


東大寺かあ…。
鹿せんべい食べなきゃ!


「鹿せんべいは食べれないって知ってたか?」


「へ!?」


そう言ったのは、先生だった。
あの時の事は気にしない…気にしない!


「なんでー! 食べるもん!」


「食べても無害だとは思うけど、あれは鹿の餌だからな?」


「うそー! 鹿肉が入ってるんじゃないの?」


「入ってないな、残念ながら」


がーん…。
マジですか。


まあいいや、どっちにしろ食べてやるから。





「う…。 味ない…」


鹿せんべいを片手に、立ちつくす。
鹿がすごい寄ってきている。


「食べる? 食べかけでよかったら」


と、鹿に話しかけて、鹿せんべいをあげる。


「あげんの? 美味いじゃん、これ」


と、鹿せんべいをボリボリ食べるカツオ。


お、美味しいんだ…。


そして奴はそのまま去っていった。
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