侍先生!
私は、先生の隣で正座して、テレビを見る。
先生は隣で、宴会場から持ってきたビールをグビグビ飲んでいた。


「そんなに飲んで、美味しいの? お酒って」


「まあな、お前も飲むか?」


「の、飲む」


と言うと、先生はコップを私に差し出した…と思ったらひっこめた。


「未成年に飲ませるわけにはいかないな、先生としては」


「じゃあ、言わないでくださいよ」


私は先生を睨むと、先生はケラケラ笑っていた。


もしかして、先生ちょっと酔ってる?


ちょっとテンションのおかしい先生に戸惑いながら、テレビに集中した。
番組が終わるまで、先生とはろくに会話しなかった。


終りのテロップが流れ、立ち上がる。


「じゃあ、先生。 お邪魔しました」


そう言って、頭をペコリと下げた。


「え? もう戻んの?」


「へ? は、はい…。 番組も終わったし」


「そっか」


「何? 侍先生、私が戻ったら寂しい?」


ニヤニヤしながら言ってみる。
まあ、そんな事言っても、先生の事だから『さっさと戻れ』とか言うんだろうな。


「うん、寂しい」


…はっ!?


い、今なんて…言ったの?先生。


先生は、ジッと、私の目を見てる。
私はカーッと顔を真っ赤にしてしまった。
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