侍先生!
「…姫条」


先生は、私に耳もとで、囁いた。


「俺はキミの王子様にはなれないけど、姫条だけの侍にはなってやる」


…私の、侍?


「なにそれ?まんまじゃんー。 侍先生」


「あはは、駄目だったか」


「…ううん、嬉しい。 侍好きだし」


先生は、もっと好きだけど。


「敵は本能寺にあり!」


「だからそれ、言いたいだけじゃんー!」


“俺はキミの王子様にはなれないけど、姫条だけの侍にはなってやる”


それだけで、充分だよ。
私は涙が出そうなのをこらえた。


…ありがとう、侍先生。


「…でも、“侍先生”って名前、ダサイよね?」


「お前がつけたんだろ!」
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