侍先生!
「だから、ホラ、来いよ」


「…お邪魔します」


なにが、“だから”なのかわかんないけど、先生の布団にお邪魔する事にした。


…うわぁ、先生と一緒の布団って…


「酒くさいっ!」


「そりゃそーだ、飲んでたんだから」


そりゃそーだけど、酒くさすぎる!


「先生、息しないで!」


「無茶言うな!」


「せめて鼻でして!」


「お前、無茶苦茶言うな~」


と先生は私に背を向けた。


あ、お酒のにおい、ちょっとマシになったかも。


「ねえ、先生」


「なんだよ」


「私は、先生がファーストキスの相手で良かったよ?」


先生は、寝がえりを打つように、ごろんと、こっちを向いて、枕に肘をついて、頭を支える体制になった。


「だから、カウントしたっていいよね?」


と、私が言うと、先生は目を泳がせた。


「お前がそれでいいならな」


先生がそう言うと、私は嬉しくなって笑ってしまった。


「何笑ってんの? 変なやつ」


「げへへ~」


「その笑い方やめろ」


だって、嬉しいんだもん。
悩んで、泣いてたのが馬鹿らしく思えるくらい。
< 182 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop