侍先生!
「とりあえず、お酒くさいっ!」


「言ってくれるじゃねえか。 くれでもくらえっ! はーーっ」


先生はわざと息をふきかけてくる。


「ぎゃーくさい! 寄らないで!」


と、はしゃぎながら先生から逃げようとする。


「逃がすか!」


先生に肩を掴まれる。


その時、おばけ屋敷の、あの時と同じ感覚がした。
先生に、抱きしめられる感覚。


「あ、あの…先生?」


よ、酔ってるんだから、仕方ないよね?


「あのさ、姫条…」


「な…なんですか?」


「………」


「先生?」


先生は、黙ってしまった。


…な、なんだろう、何が言いたいのかな。
と、思っていると、寝息が聞こえてきた。


「…寝ちゃったのか」


ひとり、そうボソリと呟く。


そういえば、先生に抱きしめられたままの体制だった。


…い、いいのかな。
抜け出そうと思えば、できるかもしれないけど、私はあえてそうしなかった。


先生と同じ布団に入ったまま、朝を迎えた。
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