侍先生!
…だめだ、緊張する。


私が先生の隣で悶えてると、先生が、「落ち着け」と背中を叩いた。
逆に、先生はなんでそんな落ち着いてるの!?


「ひさしぶり。 海、姫条さん」


真帆さんは、ニコリと笑って登場した。


「お、おひさしぶりです…」


真帆さんも、普通に見える。
結局、私だけ落ち着きないのか…。


無理矢理平静を保って、ちゃんと座る。


「今まで、ハッキリしないままでゴメンね。 ちゃんと、話すから」


真帆さんは、やわらかく笑ってそう言った。


話したら、先生…真帆さんのもとにもどっちゃうのかな。


真帆さんも先生も、嫌いになって別れちゃったわけじゃないし、むしろ…好きなまま別れちゃったんだもんな。


「私、海がずっと学校の先生になりたかった事、知ってたはずなのに…心から応援できなかった。 忙しくて…なかなか会えないし。 私は、自分の気持ちばっかりで、海の気持ち、考えてあげられなかった。 だから…別れたほうがいいと思ったの」


少し伏せ目がちに、話す真帆さん。
先生もそれを真剣に聞いている。


「それを言うなら、俺も自分の夢だからって、そっちに真剣になって、真帆の事ないがしろにしてた部分もあったと思う。 俺も、自分勝手だぞ?」


「ううん、海には目標があるんだもん。 それは自分勝手とは言わないよ。 ただ、目標に向かって頑張ってるだけ。 私が…私が、悪いの」


私の方を向いた真帆さんは、ニコリと笑った。
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