侍先生!
あまりに浮かれすぎて、帰り道、皐月に電話をする。


「へえ! 先生の家で過ごすの?」


と皐月。


「うん、そう! 先生、ケーキ作ってくれるんだってー!」


「それはあんたが作ったほうが…。 いや、なんでもない。 それより、良かったね!」
「うん、先生の家行くのはじめてー」


電話先で、皐月が小さく咳ばらいをする。


しかも、わざとらしく。


「心の準備しときなよ?」


「なんの?」


と、言うと、今度はため息に変わった。


「先生の家に泊まることになるかもよ?」


「ああ! お泊りの準備?」


「いやいや! まあ、それもだけど…」


皐月は、和也くんに変わると言った。


どうしたんだろ?


「もしもし? まいちゃん? 気づいてないっぽいけど、それは初ロマンスのおとずれかもよ~」


「ロマンス?」


「まあ、単刀直入に言うね。 初エッチの事だよ~!」


「エッ!?」


私は顔を真っ赤にして、その場に立ち尽くしてしまった。


「修学旅行のときは色々あったりしたけど、今は問題も解決して恋人同士だしね!」


そう…。そうなんだけど。


そうなっちゃうの!?
私は立ち止まったまま動けないでいた。


でも、確かに和也くんの言う通りだよね。


どどどどどどど、どうしよう!!
初ロマンスの準備、できてませんけど!!
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