侍先生!
「なんだよ、そんな事で悩んでんのか」


「そ、そんなことって…! 重要な事じゃん!」


「お前は深く考えすぎなんだよ」


深く考えるもんでしょ!
こーゆうのは!


と、心の中で叫んでみる。


カツオは少し笑って、こう言った。


「ダメならダメって言えばいーんだよ。 お前、倖田先生がお前の気持ち無視してすると思うか?」


…………そ、そうだよね。


「そーだよね!」


「おう、そーだよ。 まっ、頑張れよ! 俺もデートの準備あるから帰るわ」


「えっ? デートって?」


「美智子ちゃんから誘われちゃってさ~。 いやいや、モテる男は大変なんだよ」

「…あ、そう」


「なんだよ、その冷たい言い方は」


カツオは少しムッとした表情をしてたけど、すぐ笑顔になって帰っていった。


そっか、カツオと美智子ちゃん、デートするんだ。良かった!


私も家に帰って、デートの準備をした。
買ったばかりのワンピースとコート。


髪も巻いてみるけど、何回か失敗。
何回かやってみて、やっと納得いく感じに。


ちょうど準備が終わった時間に、先生から電話があった。「今終わったから、今から行く」って。


思ったより早かったな。
先生の車に乗り込んで、先生の家に向かう。


先生の家は学校から結構近い距離にあった。
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