侍先生!
「侍先生!」


“侍先生”又は、“さむらいだ先生”。そう呼んでるのは、私くらいだ。


「違う! “倖田”先生! キミはほんと…いい加減、人の名前を覚えなさい。」


侍先生は、本を拾いながら、少しムスッとして言った。


「先生こそ! “キミ”なんて、失礼じゃない?」


頬を膨らませて怒ってみるが、先生に頬を突かれて潰されてしまった。


「姫条。 この本の山は何?」


先生が、私の名前を呼んでくれた。


「げへへっ」


「…もうちょっと可愛らしく笑えないの?」


「うふふ」


「うわ、きもい」


姫条、姫条(きじょう)まい。
それが私の名前。
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