侍先生!
「はいはい!!滋賀県がいいです!!!!」


「…優勝してから言え」


先生はため息をついて、みんなに、ジャージに着替えるように促して、教室を出た。


「先生―!!」


私は構わず、先生に近付いた。


「何」


「さっきの話、本当!?」


「本当だけど」


「滋賀県を希望します!!」


「さっき聞いた。 なんで滋賀県なのかは、聞かなくても分かる」


え?何で分かっちゃったの?


「安土城に行きたいんだろ?」


「そのとおーり! さすが、先生! 分かってるぅ~」


私は、ピョンピョンと飛び跳ねた。先生は少し笑って、私の頭に手を置いた。


「安土城で、信長ごっこしたら、雰囲気出るだろうな。 優勝しろよ?」


「はいっ!!」


先生は教室を出ていって、私達は更衣室に向かった。


絶対優勝して、滋賀県を旅行地にするぞー!!


「…他の県も入れてよね」


皐月がそう言ったけれど、私には聞こえていなかった。
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