侍先生!

-先生SIDE-

「今日から、キミ達を一年間担当します」


そう言いながら、黒板に自分の名前を書いていく。


今日、この学校に赴任して来たばかりなので少し…いや、だいぶ。
緊張しているのかもしれない。


俺は黒板に向かって、自分の名前を、カツ、カツ、とただただ書いていた。


…書き間違えているとも知らずに。


「さむらい…だ、先生?」


ボソリと、そう呟く声が聞こえた。


声の主は、前から三番目、真ん中の右側の席の女の子だった。


セミロングのストレートヘアに、クリッとした小動物のような瞳。
突きたくなるような、盛り上がった頬に、小さいけれど可愛らしい鼻。


そして、薄くて桜色の唇をしている。


身長は、多分小さいと思う。
150、くらい?


誰が見ても、可愛いと言えるような女の子だった。


俺は黒板を見直すと、確かに、“侍田”と書いていた。


…か、書き間違えた!


俺は、恥ずかしい!と思いながら、黒板消しを持った。
きっと、これがキミとのキッカケだったのかも知れないな。
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