侍先生!
それから、姫条には、いつも通り接した。
姫条も、いつも通りに見える。


ただ、驚いたのは、姫条のやつ、課外授業に『彼女を呼べ』と言いやがった。


本当に連れてきてる俺も俺だけど。
しかも、姫条は泣くし…。


泣くくらいなら、『呼べ』なんて言わなきゃいいものを。


「私達、別れましょう」


姫条の事を考えていた、課外授業の帰り道、彼女にそう言われた。


…突然、だった。


「え!?…なんで」


「好きな人が、出来たから」


…コイツは、嘘をつくのが下手だと思う。
嘘をつくとき、やましい事がある時、絶対に目を合わせない。


「…分かった」


と、しか言えなかった。


俺は、他に何を言えば良かったのか、『別れないでくれ』とみっともなく、すがった方が良かったのか。


俺はそのまま…彼女と、別れた。


次の日、うっかり姫条に、その事をポロッと喋ってしまい、俺は慌てた。


病んでたからといって、そんなプライベートな事、生徒に話すなんて。


だけど、姫条の顔を見たら、なんだか…聞いてほしくなって、つい…。



なんでだろ?
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