侍先生!

体当たりしよう

『のこったのこったー!!』流れる実況。


手に汗握るその試合に、私は興奮していた。


今日は、生徒会の社会見学で、相撲を見にきている。
私と先生は楽しんでるけど、カツオと美智子ちゃんは無反応。


こんなに楽しいのに。


相撲を見終わると、みんなで夕飯を食べる事になった。
近くのファミレスに入って、注文したあと、美智子ちゃんを連れてトイレに入る。


「どうしたの? まいちゃん」


美智子ちゃんは私が連れションをしない主義だと知ってるみたい。
そんな事はどうでも良くって。


「美智子ちゃん! やっぱ恋には体当たりが必要だよ!」


「た、体当たり…?」


美智子ちゃんはキョトンとして、私を見ている。


「カツオに体当たり!」


「そそそそそそそ…そんなの無理だよ!」


慌ててる美智子ちゃん。可愛いなぁ。
…なんて、おっさんくさい事を考えてる場合じゃなくて!


「いける! 私、協力するもん!」


胸元に拳を持ってきて、ドン!と音を鳴らす。


…強くやりすぎた。
ゲホゲホと咳こむ。
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