侍先生!
「で? どこに行きたいんだ」


「えー? 先生が考えてくれてるんだと思ってたー」


「“どっか”って言っただろ。 それは自分等で決めろ」


夕飯はもう食べたし…。
高校生の私達がこの時間でも遊べる場所は…。


うーん…。


「カラオケ!」


私がそう言うと、カツオは嫌そうな顔をした。


…なんで?


「はじめてのメンバーだと、歌う曲に気つかうだろーが。 ちょっとは考えろ」


と、カツオに小言を言われる。
私は美智子ちゃんをチラッと見た。


「私は…喉が枯れるのが嫌だから…持込OKなカラオケで…のど飴買って行きたいな」


美智子ちゃんはそう言ったあと、私に近付いて耳もとで囁いた。


「勝男くんの歌も聞きたいし」


そーだよね!先生は…。


「未成年者は10時までだぞ」


「充分ですよ、先生!」


先生はため息をついて、ポケットから車のキーを出した。


「ここで待ってろ。 車持ってきてやるから」


先生は、近場の駐車場に車を停めていたらしく、駐車場に向かって歩き出した。
< 94 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop