BlacK DoG
AkanE
 暑い…

身体が焼ける様に熱い…


なんでこんなに暑いんだろう?
標準体型だし、風邪をひいた感じもない。



でも、すごく暑い…



「どうかしましたか?」


「え…?」


「お顔の色が優れませんよ?お困り事でも?」




声を掛けてくれたのは神父さんの格好をした男の人。
とても優しそうな笑顔でなんだか安心する。

こんな素敵な人、この辺に居たっけ?
教会、近くに出来たのかな?


ぼーっと神父さんに見惚れていたら限界が来てしまった。
プツリと意識が途絶えた。







―――朱音(あかね)、早く起きなさい!


―――今回のテストは頑張ったな、朱音



母さん…? お父さん…?

私、病気なのかな?暑いの。


ねぇ、お母さん、お父さん。
聞いてよ。

何処に行くの?



「置いてかないで…!」


「おや、お目覚めになりましたか?」


「あ…」


「申し遅れてしまいましたね。私はカルセドニーと申します。この教会で神父をしております。…御嬢さんは?」


「あ、私…えっと…あれ、えーと」



なんで名前が出てこないの?!
嘘、こんなことってあるの?!



「落ち着いて。ゆっくりで構いません。ご自分のお名前を思い出して下さい」


「私…朱音、です。田崎(たざき)朱音…です」



不思議…。
神父さんの声、落ち着く。

低くて穏やかで優しい響き。
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