BlacK DoG
「ジェット…お前とは一度話し合う必要がありそうだな」


「ねぇよ」


「……その足りねぇ頭に風穴空けてやる」




まさに一触即発。
仲が悪いのかな…。

どうして良いか分からなくて、私がおろおろしていると神父さんが優しく肩を叩いた。

神父さんのお知り合いみたいだし、この優しい神父さんなら穏便に済ませてくれるよね。良かった!



「朱音さん、歩けますか?」


「あ、はい…」


「では、少し歩きましょう」



あれ、あの二人は…?



「歩くのはまだ辛いですか?」


「あ、の…そうじゃなくて…えっと…」


「無理はいけませんよ」




ひょえぇぇぇ!?
なにこれ、なにこれ、なにこれ!

乙女の夢だよ、お姫様抱っこ!



「さぁ、行きましょう」


「何処へ?あれ、あの二人は?えと、なんで私を…」



もうだめっ!
状況についていけないよ!



「貴女のご自宅へ。あの二人は放って置いて構いません。歩くのがお辛いならこうするのが良いかと。…他にご質問は?」


「ありすぎて分かりません…」


「では行きましょうか」


「カルセドニー!人を呼びつけといて置き去りか、こら」


「犬と猿の喧嘩なんて誰も関わりたくありませんからねぇ」


「てめぇ…」


「ジェット、落ち着け。可愛らしいお嬢さんが困ってる。ごめんね、驚かせて」




もう、なにがなにやら分かりません…。

ジェットって人もすごく怖いけど、ワイルドで格好良いし。
今日の私の運勢って一位だったのかな。



「カルセドニー、ごめん。遅くなって」


「あぁ、クンツァイト。大丈夫ですよ、貴方に期待はしてませんから」


「はい…」



神父さん!?
項垂れちゃったよ?!この人。

優しい笑顔なのに…あれ、幻聴かなぁ…。
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