BlacK DoG
「そうです。ご両親を助けようとしたのか、反射的にかは分かりませんが。…貴女は、家の中に戻り…炎に巻かれたんです」


「私…」


「もう、死んでるんだよ」


「う、そ…」


「残念ですが事実です。貴女の死を悼むご友人の姿が見えませんか?」



そう言われて目を向けた先。
たくさんの学生が居た。

私の大事な友達。


みんな泣いてる。



「嘘、だって私此処に居る!」


「……えぇ、肉体を失って尚、此処に留まっていますね」


「そんな…。ねぇ、私はここだよ!聞いてよ。ここに居るよ!こっち向いてよ」



信じられなくて、信じたくなくて、皆に駆け寄って声を掛けた。
でも、誰も振り向いてくれない。

触ってみても、触れている感覚がない…。



「ここに、いるんだよ…」



泣き崩れるしかなかった。
声も届かず、触れることもできない。

本当に私は死んでしまったんだろうか。



「思い出したようですね」


「…居るんだな?」


「あんなに可愛らしい子が視えないなんて可哀想なやつ」


「視たくねぇよ、幽霊なんざ」



友達が帰って行っても、私は泣いていた。
どうして良いか分からないよ。


ちゃんとここに居るのに、私は居ないんだ。



「一人で、帰れますか?」


「え…?」


「行くべきところへ。このまま此処に居ては貴女は貴女でなくなってしまう。そうなる前に…」



どういうこと…?

私、幽霊なんだよね。もう友達と遊べなくて、将来もない。
そんな私に行くところなんて…。



「分かりませんか?」


「…私……」

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