恋花火 ~恋は甘く切ない~
「俺も今来たところだから」
少女マンガでありがちな、この会話。
それをあたしと丹後くんで実現できるってことが嬉しかった。
「行こっか」
あたしがそう言うと、自然と繋がる手と手。
そしてゆっくりと歩き出すあたしと丹後くん。
あたしはいまだに丹後くんと手を繋ぐのが慣れない。
特に……付き合うようになってからはその、なんていうか……世間一般で言う恋人繋ぎってやつをしてるから、あたしは毎回ドキドキしてて。
でもそんなあたしをよそに丹後くんはいつもどこか余裕そうだった。
「まだ5月だけどあちーな」
あたし達は地元の駅から二駅先にある水族館に行こうって決めていた。
駅までは徒歩で10分くらいだから、歩いて行く。
だけど、やっぱり5月って暑い。
あたし、手汗とか大丈夫かな……。