恋花火 ~恋は甘く切ない~
こういう些細なことが、すごく幸せに感じる。
「どうせ妃紗は馬鹿だもん……日本語おかしいって言いたいんでしょ?」
怒ったように言うけど、実際は全然怒ってない。
丹後くんといるといろんな妃紗を出せる気がするの。
ふざけたり、冗談を言ったり。
それがすごく楽しいって思える。
「じゃあ、また明日」
そんなやり取りをしている間にあたしの家に着いた。
ちょっと早いけど、もうお別れ。
もう少し一緒にいたいけど、それはあたしのワガママだ。
丹後くんはあたしが名残惜しそうにしてるのがわかったのか、あたしの頭を撫でて、
「明日、また学校で会えるだろ?んな顔すんなよ」
そのままあたしを引き寄せて、そっとキスをした。
でもね、丹後くん。
あたし不安なの。
だってまだ都ちゃんのこと聞いてないから。
どうして都ちゃんと会ってたのか、聞けたらいいのに。