恋花火 ~恋は甘く切ない~
「丹後くんも欲しいもの買ってきていいよ?妃紗ここで食べてるからさ」
丹後くんにわたあめを奢ってもらって、石段のところに座って食べる。
丹後くんはやっぱりわたあめはいらないみたいで、あたしの分しか買わなかった。
丹後くんだってお腹すいてると思うし、あたしはここで食べてるから買ってくればいいと思うんだ。
「でもお前を1人にできねーし。俺は妃紗が美味しそうにわたあめ食ってる姿を見ていたい」
丹後くんはやっぱりあたしをドキドキさせる天才だね。
そんな照れるようなことをサラッと言っちゃうんだから。
「妃紗は1人でも平気だよ?丹後くんだってお腹すいてるでしょ?」
心配してくれるのは嬉しいけど、あたしだけ食べてるのはやっぱり申し訳ない。
「だけど……」
丹後くんはどうしてもあたしを1人にさせたくないみたい。
「もう!妃紗は1人でも平気だから!丹後くんも何か買ってきて、一緒に食べよ?」
丹後くんを見上げて言うと、心なしか丹後くんの顔が赤いような気がした。
「……っ。じゃあすぐ戻ってくるから、妃紗ここからぜってー動くなよ!?」
そんなに焦らなくてもいいのに……。
でも、何か可愛いかも。
そんなこと言ったら確実に丹後くんに怒られそうだから言わないけど。