恋花火 ~恋は甘く切ない~



ーーー……


「もうすぐだね」


あれからあたし達はもう一度会場に戻った。


そしたらちょうど花火が上がる時間になったから、花火が見える場所へと移動した。


さっきは丹後くんとちょっと喧嘩みたいな雰囲気になったけど、ちゃんと仲直りできたし、最高に幸せだよ。


丹後くんと花火が上がり始めるまでおしゃべりをしてる。


「ねぇ、丹後くん。これからも妃紗の傍にいてね?」


今日は久々に丹後くんと一緒にいれた日。


でも今日が終わればまた前みたいに一緒に過ごせない日が増えるのかもしれない。


都ちゃんにも、会うのかもしれない……。


それは正直嫌だけど、だけどね。


妃紗、丹後くんのこと信じてるから。


大丈夫って思えるよ。


「当たりめーだろ」


丹後くんがそう言うと、ちょうど花火が上がった。


綺麗……。


「ね、丹後くん。来年も再来年もこれから先ずーっと妃紗と花火見ようね」


「そんなの当たりめーだろが」


丹後くんはあたしの方を見て、優しく微笑んだ。


妃紗、幸せだ……。


好きな人と一緒にいれて。


好きな人と花火が見れて。



「約束だよ?」



あたしがそう言うと、丹後くんはまた“当たり前”とでも言うかのようにあたしに優しくキスをした。


と同時に上がる花火。


その花火は今まで見た中で1番綺麗な花火だった。


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