恋花火 ~恋は甘く切ない~
「妃紗!」
背中から、聞こえてくる声。
大好きな、丹後くんの声。
そんなの、振り向かないわけないじゃない……。
思わず振り返ってしまったあたしに、走って駆け寄ってくる丹後くん。
「お前、すぐ風邪ひくだろ?……ほら、これ着けて帰れよ」
そう言うと丹後くんはあたしにより近づいて……。
あたしの首に、丹後くんのマフラーを巻いてくれた。
……あったかい。
「ありがとう……。でも妃紗、へーきだよ?」
ヘラッと丹後くんに笑いかける。
だってあたしにマフラー貸したら、丹後くんが寒くなっちゃう。
「平気じゃねーだろ。いいからそれ、巻いてけよ」