恋花火 ~恋は甘く切ない~
丹後くんって、強引なとこあるけど……それも全部、優しさだってわかるから。
一緒にいていろいろ気づいたんだ。
「うふふ。ありがとう」
あたしは巻いてもらった丹後くんのマフラーに顔をうずめて、微笑んだ。
それにね、このマフラーを返す時にまた丹後くんに会えるでしょ?
もう会えない気がして……何か理由があれば、あたしから会いに行っても迷惑じゃないでしょ?
あたし達は付き合っているんだから遠慮なんてすることないけど……丹後くんに嫌われたくない。
だから、あたしいい子でいるから。
丹後くんといられなくても我慢するから。
丹後くんが都ちゃんと会っていても気づかないフリをしているから。
だから、あたしから離れていかないで……。
そんなことを考えていたら泣きそうになった。
「妃紗?泣いてんの?」