恋花火 ~恋は甘く切ない~
離れたくないよ……。
さっきまで感じていた丹後くんの温もりがなくなって寂しくなる。
寂しさをごまかすようにあたしは立ち上がって、マフラーを取りに行く。
これを返したら……ほんとにあたしと丹後くんを繋ぐものはなくなる。
丹後くんがあたしの部屋から出て、帰ってしまったらもう会えないんだ……。
もう二度と会えない気がして、マフラーを持つ手にぎゅっと力を込める。
このまま時間が止まればいいのに。
ずっとあたしの部屋で、丹後くんと二人っきりでいられたらいいのに。
叶わないってわかっててもそう願わずにはいられない。
ねぇ、好きだよ。
大好きなのに……。