恋花火 ~恋は甘く切ない~


そっか……。


でも、それには何かわけがあるんでしょ?


「ねぇ、何で丹後くんは都ちゃんとヨリを戻したの……?そのあと丹後くんは学校を辞めちゃうし……」


別にあたしがもう丹後くんと付き合えなくても、会えなくても、それでいい。


だけど、理由は知りたいよ。


「ごめん妃紗、あたしの口からは言えない……。2人に妃紗には内緒にしとくように言われてるから……」


サキは本当に申し訳なさそうに言うから、あたしもそれ以上は強く聞けなかった。



「でもそんなの妃紗、納得できないよ」



丹後くんからは何も聞かされないまま別れを告げられて。


今でも鮮明に覚えてる。


2人で過ごした日々を。


短かったけど、楽しかった2人の思い出を。


「ごめんね、妃紗……。でもね、丹後くんから手紙を預ってるの」


「手紙……?」


何それ。付き合ってた頃は手紙とかくれたことないし。


っていうかこのご時世に手紙なんてあんまり書かない気がするけど……。


「妃紗があたしのとこに俺のことを聞きに来たら渡してほしいって言われて渡されたの。その時はそんなのだいぶ先だと思ってたけど……こんなに早く渡すことになるなんてね」


サキは笑ってたけど、苦しそうだった。


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