恋花火 ~恋は甘く切ない~


そんなあたしに気づいてか、都ちゃんが、


「都、ちょっと自販機行ってくる」


なんて言って歩いて行ってしまった。


「えっ、ちょっと都ちゃん……」


呼びかけたけど、都ちゃんは振り返らずに行ってしまった。



何で、2人っきりにしたんだろうか……。


あたしは丹後くんの方を見れなくて、何も喋れないでいた。


「なあ」


だけど、丹後くんはあたしに話しかけてきた。


「う、うん?」


久しぶりに話すからか、緊張してしまう。


そこで初めて丹後くんの方に目を向けた。


丹後くんはあたしをじっと見つめていた。


「ちょっと話さねぇ?」


もしかして、都ちゃんは丹後くんがあたしと話す機会を作ってくれたの?


そんな都ちゃんの優しさに感謝しながら、あたしは頷いた。


あたし達は近くのベンチに座った。


付き合ってた頃は隣に座ってたなぁ、なんて考えちゃう。


そんな思いを断ち切るように、あたしは少し離れて座った。


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