恋花火 ~恋は甘く切ない~
「もう会えないかと思った……」
今、目の前には好きだった人がいる。
好きだった、じゃなくて
好きな人、なんじゃないの?
あたしは自分に聞いてみる。
今までの出来事を思い出す。
頭に浮かぶのは丹後くんと一緒に過ごした日々。
やっぱり、あたし丹後くんのことが……。
「妃紗、約束守れなくてごめんな」
やだ、そんなこと言わないでよ。
謝らないでよ。
「ねぇ、何で一緒にいられないの……?妃紗、今でも丹後くんのこと……っ」
好きなの、そう言おうとしたけど、言えなかった。
丹後くんがあたしの口を手で塞いだから。
これ以上言うなってこと?
都ちゃんがいるから、気持ちも伝えられないの?
「妃紗には言ってなかったんだけどさ、やっぱ伝えとくわ。これが最後かもしれないし」
そう言うと、丹後くんはあたしの口から手を離した。