レゾンデートル


ついさっきまであっけらかんと笑っていたかと思えば仰々しい顔になったり、物憂げな顔になったり、とても表情のコロコロ変わる人だと思った。

俺の知っていたイズミちゃんは、いつも笑顔で明るくて、太陽みたいな女の子だった。

それに対して目の前に座っている泉士桜という女の子は、様々な表情を見せる、まるで空のような女の子だ。


泉士さんは一呼吸置くと「まあ、」と再び言葉を繋ぐ。


「どうなるかは分かんないけどさ、こうやって好いてくれる人に出会えて良かった」


すっと重ねられた細く繊細な指は、ほんのり冷たかった。



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