レゾンデートル
「え…と、」
どうしよう。完全に怪しまれてる。
泉士さんは物凄く怪訝そうな表情で俺を見ている。
何か、何か言わないと。
「バンド!」
「え?」
「バンドのメンバーって、もう決まってるんですか?!」
泉士さんはぽかんとしながら「いや、まだギターとキーボードしか目星がついてないけど、」と口を動かす。
「じゃあ、俺が他の楽器に立候補して良いですか!?」
「他の楽器って…何かできるの?」
「いえ、何も!」
ぎゅっと目を瞑りうつ向きながら叫ぶ。
我ながら突拍子もない発言だと思う。
口から出任せというか、勢いにのって言ってしまった。
バカなやつだと呆れられた?
バカにしたと腹を立てられた?
分からないけど、発してしまったものは仕方ない。
俺はそっと目を開けた。
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