Sweet * 1LDK
それから欲しかったCDを買って、家路につく。
時刻は夜8時。
今日も1日疲れた。
主に愛依の愚痴を聞いていただけだけど。
駅から割と近い郁未くんの家。
狭いけど駅が近いからという理由で借りたらしいマンションは、大通りから一本奥の、薄暗い道路に面していて、できるだけ一人では歩きたくない場所だった。
マンションについて、エントランスに入るとエレベーターが下りてくるのを待って乗り込む。
5階のボタンを押して、部屋に向かう。
エレベーターを降りて、まっすぐ進んだ一番奥の部屋が、あたしが今住んでいる部屋。
鍵を開けて入ると、目に入ったのは男物の靴だった。
それにお風呂からシャワーの音が聞こえる。
「郁未くん!?」
あたしが呼ぶと、シャワーの音が止まり、がちゃ、と扉が開く音が聞こえる。
帰ってきたんだ!
あたしはうれしくなり、靴を脱ぎ捨てお風呂の扉を開いた。
「……え…?」