Dear HERO[実話]
10…9…8…7……
龍斗はそっと抱き寄せ…
……キスをした。
触れた唇は温かかった。
包み込まれた感じがした。
それは「俺が守ってやる」そう言った龍ちゃんの心だったのかな…。
…3……
……2……
………1……
テレビからゴーン……ゴーン……と除夜の鐘の音が聞こえてきた。
その音は頭の中に静かに響いてくる。
龍斗と一緒に迎えた新しい年。
この瞬間を今でも忘れることができない。
「凛、このまま一緒に居て…」
抱き締めたままそっと囁く。
私もこのまま龍斗の隣に居たいと思った。
この腕の中で眠りたい…
でもそんなとき、頭に現れるのは親の存在だった。
遅くなっても帰ってくると約束した。
そんな約束破ってしまえば良かったのに、この時はそれができなかったんだ。