Dear HERO[実話]
「…うそ……」
今私の目線の先には龍斗が居て、手に持つ携帯からは龍斗の声がして…
不思議な感じだった。
「なのにおまえ帰ろうとしてるしさ…ひでーよな…」
「ちがっ…家に帰ってかけようと思って…」
必死に言い訳する。
「いいからこっち来いよ…」
そう言うと電話が切れた。
もう一度自転車を止めなおし、バッグを持って龍斗の車へと向かった。
「どうしたの?」
「仕事休みだし…来てみた」
運転席に座る龍斗の姿にまだ信じられない気持ちだった。
「………」
嬉しさと驚きで言葉が出ない。
しばらく見詰め合う二人。
龍斗は何か言いたそうにしているが、中々口に出さない。