Dear HERO[実話]



「…行く?」



様子を伺いながら龍斗がもう一度聞いてくる。



「うん…行く!」



そしてそのまま車に乗り込んだ。


一時間…どこに行くわけでもなくただドライブ。



何を話したっけ……?

…覚えてないんだ。


私は龍ちゃんと居ると、いつも舞い上がってしまうから。


肝心な会話を心に刻めるほど私の心に余裕はなくて、龍ちゃんの隣に居る…ただその幸せに微笑むぐらいしかできなかった。


右を向けばそこに想いを寄せる人が居て…

見慣れた街並みや風景を龍斗と二人きりで見る。


心が満たされていた。


龍斗と一緒に同じ時間を過ごすことが、どんな時間よりも大切なものになっていたんだ。

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