Dear HERO[実話]

だけど、龍斗の手はそこで止まった。



「………?」



「凛の怖がることはしたくない…」



そう言って真っ直ぐ見つめる。


あまりに綺麗な瞳で…

その眼差しを受け止めたまま逸らすことができなかった。


微笑みながらもう一度、私の髪を撫でる。


優しく…優しく…触れた。


でもその温かい手に私の心臓は鼓動を早める。



その手の温もりは私がずっと求めていたもの。


見つけた…

あなたが持っていたんだね。



あのとき私は初めて男の人を怖くないと思えた。

むしろ、もっともっと近くに…

あなたの隣に居たいと思えたんだ。



龍ちゃんの優しい目は本物で、あの手の温もりはあなたの心だったから……

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