Dear HERO[実話]
SECOND
春の恋
龍斗と連絡を取らなくなってから、胸にポッカリと穴が開いたような違和感を感じるようになった。
たった三ヶ月一緒に居ただけなのに…
その存在は誰よりも大きいものになっていたんだ。
そのことに改めて気付く。
そしてその想いがこれからもっと強くなること、私はまだ知らない。
龍斗との別れから一ヶ月後、私はある一人の男性と出会った。
杉浦 樹(スギウラ タツキ)
4つ年上で、長めの茶髪に切れ長の目。
ツンとして一見怖そうに見える樹は、笑うと子どものような無邪気な笑顔を見せた。
その笑顔が私を安心させてくれる。
そして二回目のデートで「付き合って欲しい」と告白をされた。
樹の想いが素直に嬉しかった…
だけど、龍斗と離れたばかりで私の気持ちはまだ前へ進めないでいた。
その間も龍斗と連絡をとることは一度もなかったけど…