Dear HERO[実話]
あの傷から一ヶ月 ―――
桜の木がピンクから緑に姿を変え、変化を見せ始めていた。
教室では心理学の授業が行われている。
私は教科書とノートを開き、ただ呆然と時間が過ぎるのを外を眺めながら待った。
心理学……
人の心など私にはわからない。
あんな男の気持ちなんてわかりたくもない!
ただ時間が過ぎることだけを待つ私の机に、突然小さく折られた紙切れが転がってきた。
「………?」
…ゴミ?
じゃないよね…。
そっと紙切れを開くとそれはどうやら手紙のよう…。
<はじめまして。
よかったら友達にならない?>
女の子らしい柔らかい文字。
たった2行の短い文章だった。