Dear HERO[実話]
「それじゃあ、失礼します…」
「俺、凛を駅まで送ってきます。帰り一人で寂しいからお前も一緒においで…」
そう言って、樹の元へ走ってきた友達夫婦の子どもを連れ3人で店を出た。
きっと大人の飲みに付き合わせられるより、外に出られることが嬉しかったのだろう。
目をキラキラさせて樹の後を追いかけてきた。
その子を真ん中に挟んで、3人で手を繋いで歩く。
「周りから見たら絶対俺の子どもって思われてるんだろうな~」
ピョンピョン飛び跳ねる子どもの姿を見て樹が言う。
さらっと言った樹の言葉。
俺の子ども…ってことは父親?
じゃあその隣で手を繋ぐ私は…母親?
周りからはそんなふうに見えるのかな。
結婚して子どもができたらこんな感じなのかな。
そんなことを考えた。
そして3人で駅までの道を楽しんだ。